連載

vol.07 村の生活が始まった(前編)

10ヶ月ぶりにテリ村に帰ってくると、また以前と同じ生活が始まった。
さすがに、この10ヶ月の月日の変化を見せる子どもたちもいたが、ほとんどが同じ顔付きで、同じシャツを着て現われるのもいるようだ。

6月に割礼を受けた子どもたちは、いまではもう大人の仲間に入った筈だが、私の前では相変わらずの子どもだった。

村の月日は実にゆっくり流れていったようだ。

仮住いではこの前に滞在した時と同じようにギリシャとアブラヒムの二人が、帰って来たその日から何の変りようも見せずに水を汲みに行き、コンパウンドの掃除をしてくれた。見ていると子どもたちはそれぞれが、少しずつ成長しているようだが、別に目立つほどの変化もない。

朝五時半東の空が明るくなる頃は、もう村の生活が始まっていて、家々からはミレットを搗く音が聞こえて来たり、餌を拾う母鶏が何羽もの雛を連れて歩き回っている。

すでに何人かの子どもたちも庭先に現れて、湯を沸かす炭火の周りで肩を寄せ合っている。朝は少し冷えて私にはそれほどでもないのだが、彼らには火の温もりが欲しくなるほどの寒さなのだ。

小麦粉を練ってピンポン玉の大きさに丸めて油で揚げた、揚げ団子ファルミとティー・リプトン2杯の朝食が済むと、何時ものように学校の工事現場を訪れる。

1月に私が帰国して以来、材料の購入を任せていた男の使い込みから、材料を送ってこなくなり全く工事はストップしていた。12月再び村に帰ってみると、学校の校舎はただ周囲を壁が巡っているばかりで屋根もなく、ガランドウの状態だった。

そこで帰ってくるなり、工事の下請けカカ君を連れてモプチに材料を仕入れに行き、早速工事を再開したのだった。材料さえあれば仕事は速い。
見ているうちに工事は進んで行った。日ならずして残されていた部分の壁が立ち上がり、外から教室への階段も出来あがって行った。

12月も半ば近くなると気温はすでに40℃はある。そろそろハルマッタンになるころだから、強い風が砂を巻き上げながら吹き、見ていると風の道に沿って砂が流れていくのが見える。それでも本格的なハルマッタンにはなってないので、まだ過ごしやすいものだ。

(続く)

written by 大阪芸大名誉教授|森 淳

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