連載
ドゴンのテリ村から
神話の民と呼ばれるドゴン村の日々
vol.01 村のこと(前編)
バンディガアラの町には入らず、道を右に折れて行くと、いかにもドゴンの村の様相を持ったジキボンボの村を通る。ランダムに積み重ねた石垣に囲まれた村を過ぎて、しばらく行くと、断崖の端に立つことになる。そこからは一挙に視野が広がって、断崖の裾からは何処までも見渡せる平原が続き、弓なりに見える地平線は遠くブルキナファソへ向かっている。
断崖は其処だけがなだらかな岩盤になっていて、流れるように落ちてゆく岩盤の上を、九十九折りの道がくねくねと下の平原に下っている。
赤道に近い太陽は岩盤を照り付けてまるでフライパンだ。歩いて下ると一時間はゆうにかかる退屈な下りである。
岩盤の道を下りきると砂地になってそこがカニコンボレの村、背後は切り立ったような断崖が立ちはだかり、数本のバオバブの樹に囲まれるように家々が点在し、村の周囲はモロコシの畑になっているのだが今は農閉期、何もない畑が村の外に広がっている。
カニコンボレから断崖を左に見て砂地ばかりの、畑の間を通る道を四キロほど歩いて行った所に、テリ村がある。戸数約1500で村は楕円形に広がっていて人口は約700人、かなり大きな村といっても良いだろう。住民のほとんどがモスレムで村の中央には大きなモスクがある。
だが村の西の外れにはたった三家族のキリスト教徒の為に、ローマから贈られた青い屋根と同じ色の窓がついた教会が建てられている。
村は大きな井戸から始まる。村の西の外れには大きな井戸があって、乾期の朝は村外れに移動して来ているフルベの人たちが、連れている牛の群れ200頭余り井戸を囲んで水飼いが始まる。
一度に10頭ほどの牛が大きな水桶を囲んで水を飲み終わると、少年たちに追われて次々に放牧地に向かって行く。
牛の水飼いが終わる頃になると、村の背後の断崖は朝の太陽に照らされて赤く輝いてくる。
世界文化遺産になっている断崖の中程にある住居遺蹟の四角い家々は影の部分が際立って、照り映える断崖の光の中にまるで彫刻されたように見えてくる。
(続く)