連載
ソウェト・ウォッチング
ヨハネスブルグ駐在員によるソウェトエッセイ
vol.08 スクウォッター・キャンプ(不法居住区)
▼ スクウォッター・キャンプとは
スクウォッター・キャンプ(不法居住区)とは元々、地方や近隣諸国から来た人々が勝手に住み着いたところです。
掘っ立て小屋(シャック)なのですが、細菌感染を防ぐために、政府が仮設トイレを設置し、共同の水道も引いています。
電気は無い家がほとんどで、灯油ランプ、灯油ストーブ、豆炭・薪のストーブを利用し、数少ない娯楽のために、テレビ、カセット・プレイヤーなどは車の中古バッテリーを利用しています。中には電気を引いている家もあり、中古バッテリーの充電を商売にしている人もいます。
▼ 合法的なスクウォッター・キャンプ?
スクウォッター・キャンプも場所によっては、半合法とされている地区があります。また、合法地区の家が無い人(特にエクステンド・ルームを借りているシングル・マザーとかHIVポジティブで身障者の認定を受けている人)、半合法の地区の人から優先的にRDP(復興開発計画)ハウスというのをタダで貰えたり、安く買えたり、銀行ローンを組めて普通の家が買えたりということを政府が進めています。
RDPハウスは古くは1ルームもあり、今では2.5ルームというダイニング+ベッドルーム+バスルーム(トイレはあるが、バスタブは自分で入れる)というもので、4ルーム・ハウスの半分の形で、後の半分は自分で増築して4.5ルームにするそうです。
この家は貰ったら(買ったら)数年は売れない(住まないとならない)そうですが、遠くに引っ越さないといけない人も多く、小さい家なので、アパルトヘイトの白人政府は4ルームをくれたのに、黒人政府は2ルームしかくれない、大きい家が欲しいけど、銀行ローンは払いたく無いという人が多くおり、知り合いで、これを推進している人はアンフェアだって嘆いています。
▼ ソウェト内のスクウォッター・キャンプ
スクウォッター・キャンプの掘っ立て小屋群は、ソウェト内では、パワーパーク、モフォロセントラル、クリップタウン、チキンファーム、プロテアサウス、ナレディなど幾つかの地区にあります。
元々国有地とか共有地なので、政府などが諦めて半合法としている地区や、川沿いで川の保全のために未だに非合法なのか、政府のサービスが遅れている地区があります。
高圧線の下の空き地に住んでいるのは身体に悪そうですけど、他にすむところも無いし仕方無いのでしょうね。
エクステンド・ルームとして建っている掘っ立て小屋は1ベッドルームですが、スクウォッター・キャンプの掘っ立て小屋はそれ一つで最低1家庭なので、小さくて夫婦2人だけで住んで、中を仕切って台所とベッド・ルームとを分けている家があります。中を台所兼ダイニング+2ベッド・ルームと仕切って使っている家もあります。驚くほど多くの人が住んでいる家もあります。
例えば、クリップタウンというスクウォッター・キャンプにある知り合いの家では、子供11人+大人7人が1軒の大きめの掘っ立て小屋に住んでおり、子供は全員床で寝ているそうです。クリップタウンは、ツアーなどで上の道路から外側だけを見ていく人や、海外からのNGOが立ち寄ったりするような有名な地区ですが、1920年代にできた古い家(昔は中国人も住んでいた)には、部屋が8つあれば8家族が住み、掘っ立て小屋も密集して建ち、狭い地区には、その広さからは想像できない2万6千人位が住んでいるそうですで、中に入ってみると人数の多さに、人口の多さが妙に納得できてしまいます。
スクウォッター・キャンプ以外のソウェトの家は、敷地や部屋数だけ見ると日本の建売住宅よりもずっと立派な家が多く、こと家に関してだけは日本の家はね、ってソウェタン達に説明しても、ビックリされるよりも理解して貰えない方が多い様な気がしています。
ソ ウ ェ ト 住 宅 ミ ニ 知 識
ファミリー・ホステル
ホステルと言われる平屋のアパート。
クワズールナタールなど、地方からの単身赴任者の寮としてできたのが始まり。
元々は男性寮、女性寮が分かれ、部屋は狭く、共同のトイレ・お風呂でプライバシーはほとんど無く、アパルトヘイト末期・直後などは、このホステルでIFP(インカタ自由党)が思想教育をして、近所のANC・PAC支持者を襲撃したこともあり、犯罪者も多く住んでいたところもあるので、今でも警戒する人は多い。
しかし、最近では改造されてファミリー・ホステルという一家で住める格安の賃貸住宅になっている所もあります。改装された所では、キッチン兼ダイニング+ベッドルーム+バス・トイレという快適な家もあります。
その他の家々
ホワイトシティー地区にちょっと変わった形の家があります。
一番右のAと真ん中のBが3ルーム(ダイニング+ベッドルーム+キッチン)で、右端のCが2ルーム(ダイニング兼キッチン+ベッドルーム)と3軒長屋です。
壁が白いセメントで塗られているのでホワイトシティーと呼ばれています。このタイプの家はオーランド・ウエストの北の地区でも見られます。お金に余裕があれば道路側や奥に増築してあります。
トイレはやはり外(裏)に隣の家と並んで建っています。