連載
ソウェト・ウォッチング
ヨハネスブルグ駐在員によるソウェトエッセイ
vol.04 ムルングと呼ばれる外国人のこと
▽ 「ムルング」って挨拶の言葉?!
ソウェトを始めとして黒人居住区を車で走っていると、「ムルング」と呼ばれることがある。ムルングとはズールー語で白人のことで、スワヒリ語のムズングと同じ意味です。
バンツー語系のズールー語など南部アフリカの言葉はスワヒリ語と同じ単語をいくつも持っていますので(お肉はスワヒリ語でも、ズールー語でもニャマです)、どちらかが訛ったのでしょう。
大人は失礼だと思っているからでしょうが、主に子供たちがムルングと呼び、大人でも特に酔っ払いに時々ムルングと言われます。が、まー挨拶の様なものなのであんまり気にはしていません。
アパルトヘイト時代に日本人が名誉白人とされていたから、日本人をムルングと呼ぶわけではなく、中国人・日本人は黒人よりも肌が白いからムルングと呼ぶわけで、日本で言う外人のようなもので、日本人や中国人のことを良く知っている人はもちろんムルングとは呼びません。
インド人は南アフリカの黒人(黒人というよりも茶【色】人に近い人も多い)よりも、色が濃い人がいるので、当然ムルングとは呼びません。
数ヶ月前に知り合いの所に、オランダ人のお客さんが20人以上来た時、お前も中に入って色々と話をしたらと皆に言われましたが、ムルングは怖いから嫌だって言ったら、大受けしました。
▽ 「マイ・ムルング」って言われるケースいろいろ
私の知り合いで私のことを「マイ・ムルング」と友達などに言っている人が数人います。
- 自分のことをメンタル・ケースと言って、政府から障害者として生活保護を貰っている女性は私のことを「マイ・ムルング」とか「マイ・ホンコンマン」が私を日本に連れて言ってくれると、私をボーイ・フレンドのように言っています。
- ソウェトで良く行く家の隣のおばあさんは「マイ・ムルング」は自分の息子だと言っています。
- タクシー(乗合自動車)ドライバーをやっている友達は、英語があんまり喋れない上に会うときには酔っ払っていることが多く、会うと「コウラーテ(私の名前はコウダテです)、ふぇ〜ふぇ〜ふぇ〜」とか、何語か判らないことばを裏声で言って、私にはちゃんと喋れないことが多いのですが、何回も一緒にビールを飲んで何だか好かれており、知り合いのところでは「マイ・ムルング」はどうしてる?ってちょっと会わないと聞いています。
酔っていると他の人にはラフなのですが、可愛げがあるおやじ(私よりは若い)で、ソウェト内のスクウォッター・キャンプの掘っ立て小屋としてはちょっと大きな家に住んでおり、家具も色々と持っているそうで、前から私を家に招待したがっていました。
先日、約束して日曜日の午後に訪問したら、お兄さんがその家で教会をやっており(掘建て小屋エリアに教会が無いので)、12時から始まったお祈りが4時になっても終わらず、結局家の中には入れませんでした。
「マイ ムルング」をスクウォッター・キャンプ内の近所の人たちに見せびらかして、自分がムルングの友達を持っている事を自慢したかったそうなので、今度はちゃんと訪問し、近所の人に「ムルング」が挨拶周りして、スクウォッター・キャンプの住人達を驚かせてやろうと思っています。
▽ 他地域の人々をちょっとバカにした言い方は…
南アフリカの黒人は他のアフリカから来た黒人達をクェレクェレ(コレコレとも聞こえる)と呼び、こちらはちょっとバカにした言い方です。
ソウェト内にもモザンビーク、ジンバブウェ、マラウイなどから来た人が多数住んでおり、結婚している人も多くいます。私の友人は親戚の前でクェレクェレと言ったらそこの奥さんはモザンビークから来た人なので、自分の子供達をバカにして呼ばれるといつも嫌がるけど、その奥さんは自分で作ったケーキを「マ、クェレクェレ」とか言って売り歩いているそうです。